「もし、なにもかも知ってることばかりだったら、
半分もおもしろくないわ。そうでしょう。
ああ、あたし、しみじみ生きているのがうれしいわ。」
(『赤毛のアン』第一章より アンの言葉)
夢見がちで、おしゃべりで、愛情たっぷりのアンがまきおこす、楽しい物語「赤毛のアン」シリーズ。自然うつくしいプリンスエドワード島が舞台のこの物語は、100年以上も世界中で愛されています。
青い鳥文庫では、日本でいちばん最初にアンを翻訳した村岡花子さんの情緒あふれる名訳と、HACCAN先生のすてきなイラストで、ぞくぞく刊行中!
あなたも、アンの「腹心の友」になってね!
アン・シリーズの完結巻! 愛と勇気の15の物語。
アンが育ったアヴォンリーに暮らす村人たちにも、涙と笑いの"事件"がいっぱい!
1度会ったきりの父を結婚式に招待したいレイチェルがとった行動とは!?
恋人がいたとうそをついたばかりに、シャーロットに起こった"運命のいたずら"は?
失敗者ロバートにいったい何が!? 村人たちの愛と感動にみちた15の短編集。
『アンの友だち』の続編で、アン・シリーズ第10作の完結巻!
大人気「赤毛のアン・シリーズ」第10作。
<世界の名作 小学上級から 総ルビ>
定価:1,540円(本体1,400円)
ISBN 9784065330937
世界でいちばん愛されている赤毛の女の子、アンの物語が、映画になりました!
この映画公開にあたって来日された、主演のアンを演じたエラ・バレンタインさんと、この映画の製作総指揮をした作者モンゴメリの孫にあたるケイト・マクドナルド・バトラーさんに、お話をうかがうことができました。
『赤毛のアン』が大好きな青い鳥文庫読者のみんなへ、インタビューのようすを特別におとどけします!
*映画『赤毛のアン』2017年5月6日全国ロードショー
(取材協力:株式会社シナジー)
※写真・文章の無断使用・転載を固く禁じます。
カナダで生まれた物語『赤毛のアン』は、これまでにも何度も映画やテレビドラマ、舞台になっています。
今回の映画は、作者モンゴメリの孫にあたるケイト・マクドナルド・バトラーさんの製作総指揮のもと、新たに撮影された最新版です。
主役のアン・シャーリー役のエラ・バレンタインさんは、カナダ出身の女優さん。小さいころから舞台や映画などで活躍していて、今回のアン役はオーディションで選ばれたそうです。
アンそのままの、きらきら光るひとみで、たくさんお話してくれました!
――エラさんが『赤毛のアン』に初めてふれたのは、いつごろですか?
エラ・バレンタインさん(以下「エラ」):
はじめてアンを知ったのは、お母さんが読んでくれた、3歳か4歳のころです。そのころは小さすぎてよくわからなかったけれど、そのあと、もう少し大きくなってからテレビアニメで見て、おもしろいと思いました!
カナダにいると、『赤毛のアン』は、かならずどこかで出会うんです。
アンは、わたしの心のなかに住んでいます。
――アン役は、オーディションでえらばれたと聞きました。えらばれたときは、どんな気持ちでしたか?
エラ:
オーディションの話を聞いて、もちろんわたしも受けてみたいと思いました。でも、だんだん選考にのこっていって、「もしかして、本当にわたしがアンにえらばれるの?」と思ったら心配になったんです。
最終的に自分に決まったときの気持ちは、言葉では言い表せません!
アンはあまりにも有名で、そんなみんなが知っているアンを演じきれるかどうか、よろこびよりも不安でいっぱいでした。
でも、監督や出演者のみなさんと話していくうちに、だんだん心がひらけていって、おちついて撮影にいどむことができました。
特に、マシュウ役のマーティン・シーンさん(ゴールデン・グローブ賞も受賞した人気俳優)は、いつもランチをいっしょにとってくれて、リラックスさせてくれたんですよ。
――今回の映画『赤毛のアン』で好きな場面や、むずかしかった場面、楽しかった場面はありますか?
エラ:
大好きなシーンは、全部!(笑)
たとえば、ダイアナとのお茶会の場面はとっても大好き。
親友のダイアナ役のジュリアとは、撮影中に仲よくなったんです。
ダイアナがいちご水とまちがえて赤ワインを飲んで、よっぱらう演技をするんですけれど、それが見ていてとっても楽しかった!
むずかしかった場面は、映画の最後で、アンが馬車に乗る場面です。
じっさいに撮影スケジュールの最後のころに撮影をしたので、撮影中のいろんなことを思い出して、グリンゲイブルスでのいろんなことを思い返しているアンと気持ちが一体になって、なみだがあふれてしまって……。
夕方の日差しがあるうちに撮影を終えなければいけないのに、なかなかなみだが止まらなくて、その場面はとてもたいへんでした。
楽しかった場面は、赤毛をからかってきたギルバードを石板でたたくシーン!(笑)
はじめはたたくのにためらったんですけど、撮影で使った石板はうすくて、たたいてもそんなにいたくないそうなんです。
だから、思いっきりたたいて、そうしたらきれいにわれて、とってもおかしかったです!
――製作総指揮のケイトさんにもおうかがいします。初めて『赤毛のアン』を知ったのは、いつでしたか?
ケイト・マクドナルド・バトラーさん(以下「ケイト」):
さいしょに父が読んでくれたのは、わたしが6歳か7歳のころで、初めて自分で読んだのは12歳のときです。
とてもおもしろくて、「これを自分の祖母が書いたのか!」と、ほこらしい気持ちになったのをおぼえています。
そのころ学校で、みんなの前で発表する授業があって、「モンゴメリはわたしの祖母です。」とスピーチしたら、先生が気絶しそうなくらいにものすごくおどろいたんです。
わたしの父はとてもひかえめな性格だったので、自分の母親がモンゴメリだということを、まわりに言っていなかったんですね。
「祖母は本当にすごい作家なんだ!」とあらためて感じました。
――ご自分のおばあさまの作品が、いまだに世界中で愛されているというのは、本当にすごいことですよね。『赤毛のアン』で、ケイトさんがお好きな場面はどこですか?
ケイト:
本にも映画にもありますが、アンの赤毛や見た目をずけずけとけなしたリンド夫人に、「あなたなんか大きらい!」と面とむかってさけぶところです(笑)。
アンの時代は特に、大人は絶対的に尊敬しなければいけない存在ですよね。
でもアンは、相手がだれであっても、自分の意見ははっきり言う。
その心意気に、すっとします。
また、これは映画にしかないシーンですが、映画のアンの最後のセリフは、とても印象に残りました。
アンが自分のことを「グリンゲイブルスのアン。」とよぶ場面です。
みなしごだったアンが、自分の居場所を感じるセリフ。
とても大好きな場面です。
――「グリンゲイブルスのアン」は、『赤毛のアン』の原題です。『赤毛のアン』のテーマが、そのひとつのセリフに集約されるんですね。
――さいごに、日本の読者へ、メッセージをいただけますか?
エラ:
アンの物語は、若い女の子に大事なものがつまっていると思います。
この物語が書かれたのはいまから100年以上も前ですが、いまの女の子たちにとっても、とても共感できる、美しい物語です。
アンは、自分の考えをしっかりもっていて、とても自立した女性です。
わたしも、日本のみなさんも、アンのように、自分らしく、自分の夢にしたがって生きていきましょう!
ケイト:
わたしが若いみなさんに伝えたいことも、エラとおなじです。
「アンのように、自分の夢にしたがいなさい」。
日本のみなさんも、アンのように、自分の心の声を聞いて、自分の望む道を歩いてほしいです。
――これからもずっと、日本の小中学生はアンの物語を愛してくれることでしょう!
きょうはおいそがしいなか、楽しいお話をありがとうございました。
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今回のインタビューには、『赤毛のアン』を翻訳した村岡花子さんの孫にあたる村岡美枝さん(写真左はし)と、プリンスエドワード島の州政府観光局の高橋由香さん(写真右はし)も、応援にかけつけてくださいました。
高橋さんがプリンスエドワード島の観光局の仕事をするようになったきっかけは、やはり『赤毛のアン』だそうです!
おふたりとも、もともとケイトさんと交流があり、とてもなごやかに話がはずみました。
エラさんは青い鳥文庫の『赤毛のアン』を、「絵がかわいい!」と、とってもよろこんでくれました。
青い鳥っ子のみなさん、アンの物語を、映画でも本でも、ぜひ楽しんでくださいね!