【一般部門】
金賞受賞『恋をするなら、きみとふたりで。』夜野いと
【受賞コメント】
この度はこのような素敵な賞をいただき、本当にありがとうございます!子どもの頃からわくわくするようなお話が大好きで、私もいつか子どもたちの心を掻き立てるような作品が書けたらなと夢見ていました。そんな私が児童文庫に挑戦した初めての作品がこうして賞をいただけたこと、率直にとっても嬉しいです!これからも子どもの頃に感じた気持ちを忘れずに、作品作りに取り組んでいきたいと思います。選考してくださった全てに皆様に感謝いたします。
【選評】
とても読みやすく、小説家を題材にした点もとても興味深く感じました。作り手のメタ的視点にリアリティがありました。「ムズキュン♡」を超えて、主人公二人のおとぼけっぷりが凄まじく微笑ましかったです! 会話の端々にセンスを感じ、ラストのセリフも、爽快痛快! スカッとした読後感でした! 小説家×編集者という設定をより深く掘り下げてハプニングを増やし、さらに、ふたりの気持ち、揺れる恋愛模様ももっと描いてほしいです!
銀賞受賞『かわいくなるための百か条』 あかまつまゆ
【受賞コメント】
すばらしい賞をいただけて、とても嬉しいです。選考に関わってくださったみなさま、本当にありがとうございます。
子どものころ、寝る前に兄と2人でうとうとしながら物語を作って遊んでいました。
私が初めて物語を作ったのは、多分そのときだったと思います。どんなお話だったのかはもう覚えていませんが、私はその時間が楽しくて好きでした。
未熟ではありますが、あのころ楽しいと感じた気持ちを忘れず、これからも書き続けたいと思います。
【選評】
自分を「かわいい」と言い切る主人公にこれまでの青い鳥文庫にない全く新しい主人公像の可能性を感じました。自分に自信を持ち、明るい主人公に多くの読者が憧れを持つのではないかと期待しています。また物語の展開はしっかりしていながらも、速度感をもって、テンポよく読み進めていくことができました。会話表現の描写にも高い評価がつきました。一方で「百か条」という設定をより生かした内容にしたいという意見もありました。
銀賞受賞『転校生アリスの考察』 岩本美南
【受賞コメント】
この度は素敵な賞にご選出いただき、ありがとうございます。
書いては消してを繰り返し、途中で不安になる瞬間もありましたが、それでも「届けたい言葉がある!」という想いで、なんとか書き上げることができました。
「銀賞」という結果には、嬉しい反面、悔しさもあります。
もっと成長したい、と思いました。暗い夜に差し込む月明かりのように、読んでくれた方の心を優しく照らす小説を書けるよう、これからも頑張ります!
【選評】
冒頭の謎解きからイッキに物語に引き込まれました。たんに鋭い「考察」を披露するだけでなく、困っている人を助けたいというアリスの姿勢に好感が持てます。メイン事件の首謀者の動機など、あまい部分はあるものの、ユーモアのある文章力と起承転結の効いた構成で、最後まで楽しく読めます。主人公とヒロインのアリスのキャラが、「執事とお嬢様」のような関係で、秘めた恋心を感じさせる要素もあり、シリーズ化も狙えるお話だと思いました。
【U-15部門】
大賞受賞『『午前零時の怪盗白鷺』 』大塚和々
【受賞コメント】
受賞のメールをいただいたとき、目をそらすとメールが消えてしまいそうで、ずっと画面を見つめていました。だんだん理解が追いつくと、心のそこから感情がこみあげてきました。
うれしさ、おどろき、喜び、感謝、自信……。
私の知っている言葉では表現しきれません。いつか、このあふれる気持ちを言葉にできるようになりたいです。
選考委員のみなさま、執筆に協力してくれた方々、近くで見守ってくれた家族、本当にありがとうございました。
これからも、楽しんで小説を書き続けようと思います。
【選評】
大賞にふさわしいすぐれたエンターテイメント作品で、感動作です。結末まで一気に読めました。背景を含めた人物設定がきちんとなされていて、登場人物ひとりひとりのキャラクターが鮮やかに描き分けられています。ドキドキする展開の向こうに、今の価値観に疑問を投げかけたり、幸せとは何かを考えさせられたりと、深いテーマを感じました。最後にパズルのピースが埋まり、白鷺の正体が明らかになるシーンでは鳥肌が立ちました。
佳作受賞『犯人鬼ごっこ』みー
【受賞コメント】
去年は一次選考も通らなかったので嬉しいです。まさか受賞できるとは思っていませんでした。
【選評】
どんどん鬼の手が迫ってくる感じに、主人公と一緒にどきどきしました。誰が鬼かわからないという設定がとても効果的だと思います。途中の、犯人捜しのための電話や、スペシャルカードのエピソードは、著者が楽しそうに書いている様子が目に浮かび、さらに読み手を楽しませようとする工夫も見えてよかったです! ラストもひねっていて、こう来るか⁉ と驚きました。
佳作受賞『月見れば/村雨の』ムツキツム
【受賞コメント】
私たち双子が二人で協力して作った作品です。このような賞を頂けてとっても嬉しいです!
今回は私たちが大好きな『競技かるた』の話でしたが、もっとさまざまなジャンルの話を書いてみたいです。
【選評】
カルタを題材にした友情物語、とても楽しく読みました。和歌の意味をなぞるだけでなく、そこにこめられた心情や情景をしっかり読み取って、物語にうまく落とし込んでいますね。とくに自分に引き寄せて描いている点は、オリジナリティがあり、たいへんすばらしいです。百人一首に詳しくない人にも楽しめるお話になっている点も、よかったと思います。