風野 潮先生Q&A

2024年01月25日

◆フィギュアスケートの小説を書こうと思ったきっかけはなんですか?  〈mayu  中3〉

昔からフィギュアスケートは好きで、テレビ放送はNHK杯とオリンピックだけぐらいだった頃からテレビ観戦はしていました。プロの作家になってから生観戦に行くようになり、生で見るスケートの迫力に圧倒されてますます好きになりました。

選手によって表現のしかたが多彩で豪快なジャンプをとぶ男子シングルが大好きで、フィギュア男子のお話を書こうと思い生観戦やスケートリンクに通う取材を始めたのが2006年ごろ。そのころはジュニアでトリプルアクセルや4回転をとぶ選手は少なく、作中であまりバンバンとばせるのも現実味がないかなぁ、と悩んでいたとき、2008年にノービスなのにジュニア全日本3位になった羽生結弦選手の演技をネットで見て「この子ならジュニアになったらトリプルアクセルとかバンバンとんでくれそう!」と思ったことで、「クリスタルエッジ」という作品が動き出しました。そして「クリスタルエッジ」シリーズのあと同じ世界の違う場所でのお話として書き始めたのが「氷の上のプリンセス」シリーズだったんです。

◆どんなふうに小説を書いていますか? キャラクターの作り方や、ストーリーの作り方等教えてください!! 〈Kyoka 中1〉

プロの作家になってからは、まずはこれからいっしょにお仕事する担当編集者さんのご意見を聞いて、「こういう話を書いてほしい」「こういうジャンルを書いてほしい」というご希望があれば、それにおこたえできるようにがんばって考えます。実は「こういうジャンルで」とか限定される方が考えやすかったりします。「晩ご飯なんでもいいよ」と言われるより「カレー作っといて」と言われるほうが楽なのと同じような感じです。

最初にストーリーを全部考えるよりも、設定とキャラクターだけを細かく作りこんでおいて、作中でおこる出来事によってキャラクターを自由に動かしていくような書き方が、自分にとっては一番楽です。でも、新たなシリーズを始める時にはいろいろ物語の展開とかを詳しく書いたプロットがないと書き始められないので、シリーズ開始前が一番大変なんですよね。

主人公のキャラクターは、完ぺきないい子よりも何かギャップのある子の方が、ストーリー展開に自然と波乱が巻き起こせるので自分としては書きやすいです。例えば、氷プリのかすみも、スポーツ選手なのに気が弱くて泣き虫だけど、ジャンプは豪快……というギャップがあります。

ストーリーは、前の方にも書きましたが、キャラクターたちが目の前の出来事にどう対応しいていくかだろうかと考えて、できるだけ自然な流れでキャラクターに動いてもらう、というやり方で書いています。

◆小説の内容が思いつかない時はありますか?また、そのときはどのようなことをしていますか? 〈むぎ 中1〉

自分で考えたキャラクターや世界観が気に入って楽しく書き始めることができれば、そのあと書くことに行き詰まるようなことは、あまりありません。でも、なかなか書き始められない、設定が決まらない、ということはよくあります。

そういうときは、仕事と関係ない趣味に数日熱中したりしているうちに、なにも考えてないときにパッと名案がうかんだりします。昔は手芸(バッグやドール服を作ったり)が趣味でしたが、目が悪くなってしまったので今は歌(カラオケアプリ)が趣味です。それでもなかなか何も浮かばないときでも、お風呂にゆっくりつかっているときにパッと新しい展開が思い浮かんだりすることがあるので、考えつかれてしんどいときこそ、お風呂にちゃんと入るようにしています。

先生が本を書くときに、気をつけていることは何ですか? 〈さりえ 小5〉

まず気をつけているのは、キャラクターの性格やしゃべり方、好き嫌い、などの設定を決めたら、ストーリー展開の都合でキャラ設定を変えたりしないことです。成長して少しずつ変わっていくのはいいのですが、「え、この子って、こういうこと言う子だったっけ?」と読者さんに思われてしまわないよう気をつけています。

それから、ただ悪役を登場させたいためだけの悪役は作らない、というのも自分の方針です。主人公をいじめるキャラが出て来ても、それには何か理由があるんだということも書きたいな、と思っています。

あと、読んでくださった皆さんが何年もたってから、タイトルしか覚えていなかったとしても「おもしろかった」という記憶だけはしっかり残っているような、そんなおもしろさにあふれたお話が書きたいといつも思って書いています。

◆先生の好きなフィギュアスケートの選手を教えてください! (私は坂本選手、本田選手、河辺選手、宇野選手が好きです!)〈oto 中3〉

現役引退して今はプロスケーターですが、羽生結弦さんの演技が今も大好きです。甲乙つけがたいほど好きなプロスケーターとして、宇野昌磨選手のコーチをしているステファン・ランビエールさんの演技もいつ観てもめっちゃ感動します。

現役では坂本花織選手と三原舞依選手の神戸コンビの、タイプが真逆だけど最高峰の演技とふたりの絆が大好きです。男子では現役世界1のステップでいつも観客を楽しませてくれる友野一希選手と、今シーズンシニアに上がったばかりでまだ目立っていませんがスケーティングと身のこなしが優雅な片伊勢武アミン選手を応援しています。

 質問をおくってくださったみなさん、ありがとうございました! 青い鳥サポーターズでは、いろんな企画を計画中だよ! お楽しみに。

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