第5回

2019年01月15日

 Scene03 10月26日(金曜日)
“ロスチャイルドさんの家”見学からの続き~


 その後、カフェに入り、カフェラテを飲む。
 カフェラテというものを初めて目にしたのだが、飲み方がわからない。泡立っていて、飲み物というよりアイスクリームのような感じ。
 スプーンですくい、小袋の砂糖を振りかけて食べたのだが、あれで良かったのだろうか……?
 カフェラテを楽しみながら、垂水さんの書く小説の話を聞く。
 熱意あふれる話を聞いて、若さが羨ましくなり、早く日本に帰って原稿を書きたくなる。(日本に帰ったら、不思議なことに、その気持ちは消えてしまった……。あのときは、「気の迷い」というやつなのだろう)。
 よく考えたら、ぼくは垂水さんが生まれる前から作家をやってることに気づく。
 思わず、遠い目になってしまった。


 その後は、旧市街のマセナ高校や裁判所の建物を見る。

ニースの裁判所

 どの建物も、歴史の重みを感じさせる。造りとしては、石を積み上げてモルタルなどで固めてるとのこと。
 垂水さんに教えてもらったのだが、このへんは地震がないそうだ。
「もし、震度3の揺れが来たら、このへんは壊滅します」
「……」
 これからも、地震が起きないことを願う。


 マセナ広場には、七大陸を表すモニュメントがあった。
 高い柱の上に、人物像が置かれている。膝を抱えている像や、正座している像――。
 この人物像が、大陸一つ一つを表してるそうだが、どれがどの大陸を表してるかは不明。
 何より、どうしてこの人物像が七大陸を表してるのかも不明。

解説
⇒スペイン出身のジャウメ・プレンサさんという世界的アーティストがつくった作品。
夜はライトアップして、刻々と色が変わってました。

 

広場の横を、トラムという路面電車が走っている。
 車の通行量も多い。
 でも、ほとんどの人は、歩行者用信号が赤でも平気で横断している。それはもう、すがすがしいほど、信号を無視している。
 車も、スピードを落とすことなく、走っていく。
 歩行者にしたら、
「車が来てないんだ。赤でも渡っていいじゃねぇか」
 という感じだし、車の運転手からしたら、
「こっちの信号は青なんだ。赤で渡るほうが悪い」
 という感じで、なかなかスリリングだ。
 でも、感心したのは、信号の無い横断歩道。
 歩行者が、信号のない横断歩道にいたら、車は、必ず停止して歩行者を優先させていた。 ニース以外でも注意して見ていたのだが、信号のない横断歩道では、どこの地域でも自動車は止まっていた。日本では、ほとんど見られない光景だ。
「マナーがあれば、ルールは不要」という言葉を思い出した。


 あと、近くにある高級ホテルも見学。(ホテルの名前は、カタカナで書くような名前だったいうこと以外、一文字も記憶に残ってません)。
解説
⇒「ホテル・ネグレスコ」。1913年に開業した、ニースを代表する5つ星ホテル。


 中に入ると、いろいろキラキラしていて、高級感はあるんだろうけど、ぼくらの泊まってるホテルと差がないようにも思える。(※ぜんぜん違います。)
 ロビーには、「からくりサーカス」のオートマタを思わせるようなオブジェ。それから、日本の風神像を真似したとしか思えないような人形。


ラグジュアリー感あふれるネグレスコのロビー

 高級ホテルを出て、海沿いの遊歩道を歩く。
 朝と同じように、走っている人が多い。ニースのジョギング人口って、どれぐらいになるのだろうか?


 夕方になり、いったん垂水さんと別れ、いったんホテルに戻る。
 荷物整理してから、山室さんと「ボカッチオ」というレストランに向かう。
 夜になっても、人通りは多い。祭りや夜店をやってるような賑わいだ。
 垂水さんとレストランで合流し、食事。
 ぼくはメニューを見せられてもわからないので、全てお任せ。こういうとき、好き嫌いなく何でも食べられるので、便利だ。
 山室さんと垂水さんが相談して、メニューを決める。ワインも頼んで、テイスティングは山室さん。
 ところで、ワインのテイスティングというものを、ご存知だろうか?
 注文したワインが、注文通りのものか、劣化していないか、調べるために行われる儀式だ。ソムリエが、持ってきたワインの栓を抜き、グラスに少しだけ注ぐ。それを口に含み、満足そうに頷きテイスティング終了。
 こういうのだけど、なかなか緊張する儀式だ。
 しかし、山室さんは慣れた手つきでグラスを持ち、ワインを口に含む。そして、フランス語で何か言ってから、うなずいた。
 ぼくは、その動きをビデオカメラモードで見て、記憶する。いつか、自分がテイスティングするために――。
 注文した料理は、貝やらエビやらがクラッシュアイスの上に盛った奴と、貝とご飯を煮たもの。カタカナの名前がわからないので、貝の舟盛りと、炊き込みご飯だと思えば、まず間違っていないだろう。
解説
⇒「フリュイ・ド・メール(海の幸の盛り合わせ)」と「パエリア」です。

 

 料理を食べながら、フランスの移民問題や、職業事情、イタリアとの歴史などを聞かせてもらう。残念なことに、こちらに受け止めるだけの知性が足りてない。
 エビを殻ごと食べ、貝殻にへばりついた貝柱をナイフでこそげ落とし、もぎゅもぎゅと食べる。
 地中海の魚介類は、美味しゅうございました。(ただ、地元の魚介類に比べると、サイズが小さい……)


 垂水さんと別れ、山室さんとホテルへ戻る。
 途中、モノプリという、フランスでは有名なスーパーマーケットを教えてもらう。
「ワインが安いんですよ。あと、ここはカップヌードルも売ってます」
 さすが、敏腕編集者の山室さん。すでに下見を済ませている。
 カップヌードルは、スキヤキ味とテリヤキ味を売っていた。話のネタに食べてみようかと思ったが、お腹がいっぱいなのであきらめる。
 ワインも売っていたが、普段ワインを飲まないので、安いかどうかがわからなかった。


 部屋に戻り、昨日できなかったWi-Fi接続に挑戦。
 結果、iPadの接続成功!
 iPhone、つながらず……。なぜだ!
 考えてもわからないことは、考えないほうが、安らかに眠れる。というわけで、11時には寝る。
 日本時間だと、翌朝の6時。すでに、ぱたぱたと活動している時間だ。
 そんなことを考えていたためか、夜中の2時に目が覚めた。
 このままでは体力が続かないと思い、必死で5時まで眠る。必死で眠ろうとしたため、かえって疲れたような気がした。

 

26日のヘルスケア
 ウォーキング+ランニングの距離   12,9km
 歩数                21,669歩

 



次回は、いよいよモナコ公国へ。カジノで一攫千金なるか!?
更新は1月31日(木)の予定です。お楽しみに!

 

  • 青い鳥文庫ってなに?
  • 2020 青い鳥文庫小説賞
  • 講談社 火の鳥伝記文庫